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2020年01月26日|ブログ図解カード活用事例

私は、学生のコンテクストを理解する能力を持った教員になりたい。また、そのような学生を育てたいと強く願う。

産業能率大学経営学部で来年度から出講させていただく科目「生産管理」のカリキュラムを開発するにあたり、同大学の先生方・学生の方々からのご支援により多くの気づきをいただいたので敬意を表してブログを投稿します。


<目次>
1、前任は生産工学博士(理系)、私は商学士(文系)
2、生産管理を全く知らない学生に、メーカーで働く魅力を伝えて欲しい
3、苦手って決めつけないで欲しい。自分に対しても、他人に対しても




1、前任は生産工学博士(理系)、私は商学士(文系)

生産工学を基盤として生産管理論。理系の学問である。企業においても、生産技術・品質管理との結びつきが強いため、生産管理職を理系出身者が務める場合が多い。私のように、文系の領域である原価管理・資材管理の側面から生産管理職のキャリアを積んできた人間もいると思うが多くはないだろう。今回、産業能率大学経営学部からいただいたメッセージは、まさに、理系よりの講義から文系よりの講義に軸足を移すことだと理解している。私の前任にあたる先生は工学博士で学者として教員としてご経験豊富な方、一方の私は古河電気工業における生産管理職、日産自動車における資材管理職のキャリアはあるが、理論を全く勉強したことがない、さらに教員を経験したことはない。生産工学と商学、博士と学士、学問の領域も学位も全く異なる前任と後任(私)。これはかなりチャレンジングな取組みだと思いながら、大学の御要請を謹んで受けることにした。

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2、生産管理を全く知らない学生に、メーカーで働く魅力を伝えて欲しい

後になって大学側にご迷惑をおかけするといけないので、「私は生産管理の理論を全く学んだことがありません。」と素直に報告したことがあります。本当に恥ずかしかったし、心がザワザワしました。私は実務をベースにした我流を人様にお伝えするのは好きなタイプですが、理論をベースに講義することを想像できなかったからです。大学の先生方は私の気持ちを温かく受けとめてくださり、「生産管理を全く知らない学生に、メーカーで働く魅力を伝えて欲しい」とコンセプトを明確にしてくださいました、「多部田さんは、実務経験が豊富で具体的な事例に富んでいらっしゃる。さらに図解を使って、具体例と抽象度の高い理論を結びつけることができるのは、強みですよ。本学の学生にメーカーで働く魅力をお伝えいただき、就職活動のヒントをお与えください。」なるほど、私は理論が不足していますが、実務経験と【図解】は強みであり、後から理論で補えば良いのだと理解します。



''だれにでも、経験や知識が豊富にあり、ある程度の哲学を確立している分野というものがあります。その分野になじみのない人たちの「未熟さ」を目の当たりにすることはないでしょうか。その人たちに説明して試みようとしても、相手が「ぽかんと」してしまう状況です。あるいは、わかっているように見えて、じつはまったくわかっていないと感じるような状況です。そうした状況は、世の中にたくさん転がっています。抽象度が高ければ高いほど、一部の人にしか理解してもらえません。''

''「たとえ話」は、説明しようとしている対象を具体的につかんでもらうために、抽象レベルで同じ構造を持つ別の、かつ相手にとって卑近な世界のものに「翻訳」する作業といえます。説明したい新しい概念や事例を、身近な事例で似ているものを使って説明するのです。たとえ話のうまい人とは「具体→抽象→具体という往復運動による翻訳」に長けている人のことをいいます。''

ーー『具体と抽象』細谷功著(dZERO)より



企業研修でお伝えしているのですが、「その場、そのタイミング、その相手にとって、最適な抽象度のキーワードとフレームワークを調整(チューニング)するメソッド」こそ、相手と共通理解を育み協働・共創を導くコミュニケーションに重要な視点です。細谷功さんがご著書の『具体と抽象』で述べていることと同じ視点です。「お前は視座が低い」、「みんなポカンとしながらら話を聞いていたよ。もっと相手目線でわかりやすく説明したら?」と、上司や同僚から注意されたことがある。こういったコミュニケーションのズレを埋めるためには、具体→抽象→具体という往復運動が必要であり「その場、そのタイミング、その相手にとって、最適な抽象度のキーワードとフレームワークを調整(チューニング)するメソッド」が必要です。私の場合でいうと、学生が理解できるレベルで講義を行いながら、抽象的な理論を織り込む、復習として具体的な事例を話すことが求められます。

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3、苦手って決めつけないで欲しい。自分に対しても、他人に対しても。

やり方とその必要性を理解して行動したら、苦手と思っていたことが、意外に難しくないこともある。私は、理論をベースに講義すること苦手と決めつけていました。また、学生も理論は難しいすぎると決めつけていました。同大学の先生方・学生のご厚意により生産管理の模擬講義をやらせていただく機会をいただき、「多部田さん、生産管理ってこういう仕事なんですね〜興味出ました」と学生さんたちが目をキラキラさせて感想を伝えてくれました。一部の学生さんからは「理論を学べた今、もっと理論を学びたくなりました。事例ばかりでは、物事を俯瞰できないと思うので、理論の割合をもう1割くらい増やしてもらえると良いと思います。」なる感想もいただきました。

''通常、そういった場面で言われるリーダーシップとは、人を説得できる、人びとを力強く引っ張っていく能力を指す。しかし、私は、これからの時代に必要なもう一つのリーダーシップは、こういった弱者のコンテクストを理解する能力だろうと考えている。社会的弱者は、何らかの理由で、理路整然と気持ちを伝えることができないケースが多い。いや、理路整然と伝えられる立場にあるなら、その人は、たいていの場合、もはや社会的弱者ではない。社会的弱者と言語的弱者は、ほぼ等しい。私は、自分が担当する学生たちには、論理的に喋る能力を身につけるよりも、論理的に喋れない立場の気持ちをくみ取れる人間になってもらいたいと願っている。''

ーー『わかりあえないことから』平田オリザ著(講談社現代新書)より

模擬講義の後、平田オリザさんの『わかりあえないことから』に登場するくだりを思い出しました。理論をベースに講義すること苦手と決めつけ、書籍から理論を学ぶことに注力していましたが、学生との対話を通じて、「その場、そのタイミング、その相手にとって、最適な抽象度のキーワードとフレームワークを調整(チューニング)するメソッド」が重要である。理論も大切、事例も大切。講義にあたっては、学生との対話を通じて、理論と事例のバランス感覚が重要であり、そのために図解を活用することが私の務めであるとの気づきをいただきました。

上記のやり取りと気づきが糧となり、1月末に大学へ提出するシラバス作りも順調に進んでおります。同大学の先生方・学生の方々からのご支援により多くの気づきをいただいたので敬意を表してブログを投稿します。

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以上

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